みなさん、こんにちは。
街中やオフィスビル、商業施設で絶対に一度は見ている、緑色の「非常口のマーク」。そこに描かれている「必死に走っているあの人」に、実はちゃんとした名前があるのをご存知ですか?
実はあのマーク、ただの案内板ではなく、日本のデザインチームが世界に誇る「命を救うための大発明」なんです。
今回は、知ると明日から非常口を見る目がガラリと変わる、あのマークに隠された深い歴史とデザインの秘密をじっくりと解説します。学校や職場の雑談ネタにもぴったりですので、ぜひ最後まで楽しんでいってくださいね。
彼の名前は「ピクトさん」!その意外なプロファイル
まずは、あの走っている彼自身の秘密から紐解いていきましょう。
彼の名前は、絵文字を意味する「ピクトグラム(Pictogram)」から名付けられた「ピクトさん」といいます。(※「ピクトくん」と呼ばれることもあります)。
実はこの名前、公式が定めたものではなく、2003年に日本の「日本ピクトさん学会」会長である内海慶一さんが命名したものが世間に定着したものです。
ピクトさんの最大の特徴は、「常に体を張って僕たちに危険を教えてくれている」という点にあります。
- 非常口では「こっちに逃げろ!」と全力疾走し
- 工事現場では頭をぶつけ
- 清掃中の床では派手に滑って転んでいる
自分自身がひどい目に遭うことで、僕たち人間に「ここは危ないよ」「こっちが安全だよ」と無言のメッセージを送り続けてくれている、優しくてちょっと切ないヒーローなんですよ。
なぜ「緑色」なの?炎の中で輝く科学的理由
非常口のマークといえば、鮮やかな「緑色」が定番ですよね。でも、危険を知らせるサインなら、信号機や踏切のように「赤色」のほうが目立つ気がしませんか?
これには、人間の目の仕組みと災害時の状況を計算し尽くした、驚きの科学的理由があるんです。
赤い炎の「補色」であること
火災が発生したとき、周囲は真っ赤な炎と黒い煙に包まれます。もし非常口が赤色だったら、炎の色と同化してしまって見えなくなってしまいますよね。
そこで選ばれたのが、赤の反対色(補色)である「緑色」でした。赤の中で最も引き立つ色だからこそ、視界が最悪の状況でも「あそこに逃げ道がある!」と一瞬で判断できるのです。
白ベースと緑ベースの決定的な違い
実は、非常口のマークには「2種類」あるのをお気づきでしょうか?
- 緑の背景に、白いピクトさん(=非常口そのものがある場所)
- 白の背景に、緑のピクトさん(=非常口へ続く通路・誘導路)
建物が停電して真っ暗になったとき、白ベースのマーク(通路用)は周囲を照らすライトの役割も兼ねています。このように、色一つとっても緻密な計算の上に成り立っているんです。
日本の悲しい大事故から生まれた「世界標準」の歴史
この非常口のマーク、実は日本で生まれて世界中に広がった「日本発の世界基準(ISO規格)」なんです。
その誕生のきっかけは、1970年代に日本で相次いで発生した、ビルやデパートの大規模な火災事故でした。
当時は「非常口」と漢字で書かれただけの看板が多く、煙で文字が見えなくなったり、パニックになった人々が文字を認識できずに逃げ遅れたりする悲劇が起きてしまったのです。
公募から生まれた「一目で伝わるポーズ」
「文字が読めなくても、子供でも外国人でも、一目で直感的に避難できるデザインを作らなければならない」
そうして1978年、自治省消防庁(当時)によって大規模なデザインの一般公募が行われました。
約3,300点以上の応募の中から選ばれた小谷松敏文さんの原案を、日本のグラフィックデザイナーの第一人者である太田幸夫氏らが改良し、現在の「左に向かって走る人」の美しいシルエットが完成したのです。
国際コンテストでの劇的な勝利
1980年代、国際標準化機構(ISO)の会議で「世界共通の非常口マーク」を決めるコンテストが開催されました。
当時、すでに有力視されていた「当時のISO専門家チームが作った案」があったのですが、日本チームは「通常時だけでなく、煙を充満させた部屋での見え方(視認性)の比較実験」を行い、日本案の方が圧倒的に優れていることをデータで証明したのです。
その結果、日本のデザインが見事に採用され、1987年に世界共通のルールとして世界中の街に設置されることになりました。
僕の体験談:身近なマークが愛おしくなる
「僕もこの歴史を知るまでは、非常口のマークなんて空気のような存在で、気にしたこともありませんでした。でも、開発の裏にある『一人でも多くの命を救いたい』という当時のデザイナーたちの執念や、煙の中での実験データの話を知ったとき、鳥肌が立つほど感動したんです。
今では、新しいビルや旅先の海外のホテルに入るたびに、まず非常口マークを探して『あ、ここにも日本のデザインのピクトさんが走ってるな』とチェックするのが密かなルーティンになっています。日常の風景で非常口を見つけると少しうれしい気持ちになります。
命を守るデザインに感謝を
普段、当たり前のように見上げている非常口のマーク。そこには、以下のような素晴らしいストーリーが詰まっていました。
- 名前の由来はピクトグラムからきた「ピクトさん」
- 火災の赤い炎の中でも絶対に見失わない「補色の緑色」
- 日本の悲しい事故を教訓に、公募から生まれた「世界標準のデザイン」
「正しい情報を、言語の壁を超えて一瞬で伝える」というこのデザインの精神は、現代の様々なユニバーサルデザインにも受け継がれています。
みなさんも、次に商業施設やオフィスビルに行くときは、ぜひ天井の「ピクトさん」を見上げて、その機能美を感じてみてくださいね。でも、彼のように館内を全力疾走するのはダメですよ(笑)!
- 参考サイト:非常口のマークの歴史や、日本生まれのデザインが世界共通(ISO)になった背景の詳細は、日本デザイン振興会の公式情報やJIS/ISO規格の解説ページが非常に参考になります。



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